脈診マスター法(後編)

目安時間6分

現代は脈診重視

経絡治療において現代では脈診が重視されています。

 

気の変化が少しずつ物質化していき最初に現象としてでてくるのが脈、そして皮膚、筋肉、骨と変化していきます。

 

ですから脈の変化から気の変化を予測するのが、もっとも気に近い位置からの観察になりますが、ただし脈は気そのものではありません。

 

ですから気と経絡の変動をダイレクトに感覚として捉える技術の開発が私たちの研究テーマです。

 

さて、それでも望診ができないうちは脈診に頼らなくてはなりません。

 

脈を診る場合、初心者のかたは強い弱い、速い遅い、を診ますがそれは脈を数値化して観ることにつながります。つまりそれは西洋医学(現代科学)です。

 

そうではなくて脈の象(かたち)をみなくてはなりません。形ではなく象です。

 

脈の強弱で判断すると、どんな脈でもなんらかの証がたちますが、象(かたち)で判断すると経絡の変動が感じられず、証がたたない場合があります。

 

すると一見変動がありそうな脈でもその人にとっては平脈である場合が意外と多いのです。

 

つまり脈差診で肝虚や脾虚に観えても経絡の変動を伴っていなければ平脈とするわけです。

 

平脈とは左右なんら差のない平らな脈のことを言うのではなく、その人固有の脈の象(かたち)が正常なかたちで現れていることです。

 

そのかたちは指紋や顔かたちが違うように人それぞれ違います。ですから平脈は人によって違うということです。それを考慮して判断しなければなりません。

 

それができると、経絡治療の適応か適応外かどうかの鑑別ができますし、予後判定も間違わずにすみます。

 

次に四診合算についてですが、多くの方はこれを多数決のように勘違いしておられるかたがいます。四診合算は多数決で証を決める方法ではありません。

 

四診すべてが一致していないと証決定できない、というのが四診合算です。

 

ですから間違いないと思えば、望診だけで証決定する場合もあります。望診で自信が無い場合、脈診や腹診で確認作業をします(もちろん逆の場合もあります)。

 

もしこのとき望診と脈診の結果が一致していなければ、入念に診察をやり直します。

 

経絡の変動があり(つまり経絡治療の適応である)、望診や脈診で証決定をした次は適応側および使用穴の選択です。

 

それは切経で選択します。適応側の男女差、健側患側は判断基準として、まったくあてにならないと考えています。

 

使用経穴が決定されたら鍼を当てるのですが、鍼を当てると変動経絡をたどって気が走ります。

 

走った先は出口となりますが、この気の入る口の経穴と出口の経穴は本治、標治または陰と陽のように対の関係になって存在します。

 

ここで気の出口を塞ぐような操作(透熱灸など)をすると気が通らずに治癒反応が妨げられることになりますから注意が必要です。

 

つまり気が走った先は禁灸点となるのです。

 

逆に気の入る口の経穴は、気(刺激)を必要としていますから少々乱暴な操作をしても(例えば強刺激や透熱灸)許容してしまいます。

 

そして要穴と言われているツボはほとんどが気の入る経穴にあたっている確率が高いものです。

 

要穴に鍼をすれば下手な鍼でも、ある程度効いてしまうはこのためです。

 

ですが陽病と陰病では気の入る口と出口が逆転して現れることがあり、その場合は要穴でも気の出口にあたっている場合があり、そんな状態の時に要穴に手荒な操作をしてしまうと強烈な誤治反応を起こすことがありますから注意して鑑別しなければなりません。

 

さて、気の滞りが存在して変動経絡があれば経絡治療の適応であり、必ず良い結果をだせます。ですから変動経絡のあるなしを確実に判別しなければなりません。

 

科学的な観察方法は主体と客体を分けて、その対象を比較検討し差を求める方法ですが、東洋医学の観察方法は主体と客体を分けない方法をとります。

 

つまり経絡の変動の観察は差を求めてはいけないのです。姿勢の傾きや関節の可動域や角度、皮膚の色、脈の強弱、速度、皮膚のざらつき、硬軟等、はこれらすべて差を求める方法ですから、必要最小限に止め、東洋医学的な経絡変動の観察とのバランスを考慮する必要があるかと考えます。

 

もちろん、その両者のどちらに偏っても良くないと思います。

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管理者プロフィール

東洋医療技術研究会

現代表は勝木れい子

鍼灸師(赤門鍼灸専門学校卒)

経絡治療学会の学術部長を経験

のち「気と経絡」の研究に没頭する。

現在は望診法講座「気流診」の講師

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